飲み放題は、高い。
いや正確にはそう見えないから話が面倒くさい。
会社の飲み会。
幹事が言う。
「1人5000円で、飲み放題込みです」
5000円。
安い。
ビール、ハイボール、レモンサワー、日本酒、焼酬。
どれを何杯飲んでも5000円。
自分の予算が崩れる心配がない。
これがどれだけ安心か。
5000円で好きなだけ飲めるというのは家計にとってほぼ勝ちである。
会が終わる。
「安く済んだね、ラッキー」
私は財布を軽く叩く。
確かに1次会は5000円で終わった。
問題はそのあとだ。
まだいける。
安く終わったし、盛り上がった空気のまま私は必ず言う。
「二次会、行きましょう」
行く。
また飲む。
2次会は3000円。
そこで終わればまだいい。
でも私はなぜか締めのラーメンに向かう。
3次会はラーメン。ビールもつけて2000円。
気づけば終電消滅。
タクシーは5000円。
帰宅は深夜2時。
翌朝、記憶と財布を確認する。
1次会5000円+2次会3000円+3次会2000円+タクシー5000円。
合計15000円。
安く済んだはずが、なぜか15000円になっている。
これはいわゆる経理的な錯覚である。
入口だけ見て、出口を見ていない。
でもきっと私は来週もまた同じことをする。
「安く済んだね、ラッキー」
「二次会、行きましょう」
「締めのラーメン、行きます?」
このセリフは抜けない。
口が勝手に言う。
それでも思う。
飲み放題ありがとう。またよろしくね。